教育部長からのメッセージ

熊本大学大学院 自然科学教育部長 連川 貞弘
熊本大学大学院
自然科学教育部長
連川 貞弘
未来社会の創造に果敢に挑戦できる人財の源泉として

 自然科学教育部の前身である自然科学研究科は、理学研究科と工学研究科を統合して昭和63年度に発足しました。平成10年度には、博士前期課程8専攻、博士後期課程4専攻から構成された博士前後期課程からなる区分制大学院へと改組し、平成18年度に大学院重点化と複合新領域科学専攻の設置、平成22年度に数学専攻(博士前期課程)を設置し、博士前期課程9専攻、博士後期課程5専攻の大学院となりました。
 
 現在、熊本大学では、教育および研究それぞれの組織を必要に応じて独自に再編することを可能にするため、教員が所属する研究部と教育組織である教育部に分離する体制づくりを進めています。教員が所属する組織としては平成28年度に大学院先端科学研究部が設置され、さらに平成30年4月に大学院自然科学教育部が発足しました。自然科学教育部では、博士前期課程を学部の教育プログラムに合わせて9専攻から5専攻に改組し、学部から大学院博士前期課程までの6年一貫的教育を実現し、専攻ごとの特色ある専門教育によって高い専門性と論理的思考能力を身につけることができます。一方、博士後期課程では、理学系、工学系それぞれにおける最先端知識および技術を身につけ、課程修了後には俯瞰的立場で他分野と協働事業が展開できる人材を育成するため、理学専攻と工学専攻の2専攻に改組しました。
 
 現在、世界は未曾有の破壊的変革が急速に進んでおり、知識集約型社会へ変わりつつあります。これまで科学技術は、世界に富を与え、人々の生活を豊かにしてきました。しかしながら、この豊かさを享受できない多くの人々もいることを忘れてはなりません。また、格差社会や環境・自然破壊など、国境を超えたグローバルな社会問題をも生み出していることも否定できません。今、世界が向かおうとしている社会においては、世界が直面しているさまざまな社会問題を俯瞰的視点から創造的に解決するとともに、新しい価値を創造することが求められています。例えば、今後の社会においては、多くの分野において人工知能(AI)の活用は避けては通れないでしょう。AIの能力は時期を待たず人間の能力を超える可能性が高いと思いますが、人間の尊厳を保ちながらAIを活かすためには、“人間中心の”AIの開発・活用が必要です。そのためには、深い専門知識を有するとともに、多様な社会を俯瞰的に理解し、普遍的な価値想像力を養うことに通ずる、倫理、哲学、歴史などの幅広い教養力が求められます。これに加え、情熱や熱意、最後までやり遂げる強い意志が何より大切です。
 
 自然科学教育部には、それぞれの学問分野に関する高い専門性と論理的思考能力を身に付けることができる高い水準の教育環境と、最先端の研究を推進し世界と戦っていける研究環境が整っています。 さらに、総合科学技術共同教育センターでは、多様な価値観や専門性を超えた視点、さらに国際感覚を涵養するため、自然科学教育部共通の「理工融合教育科目」として「先端科学科目」「大学院教養教育科目」「MOT特別教育科目」「英語教育科目」を提供しています。これらの科目の履修を通して、予測不可能な時代において、世界的課題の解決に貢献し、創造的イノベーションを牽引できる研究者・高度技術者の養成に努めています。黒髪南キャンパスが平等で豊かな未来社会の創造に貢献できる人財の源泉となることを期待しています。