地下水研究の未来

地下水の専門家の人材育成

世界中で現在も進行している「地下水汚染」。その汚染の形態や経路は実に多岐にわたっており、その原因究明や汚染対策は一筋縄ではいきません。 汚染の種類を考えてみると、硝酸・亜硝酸性窒素汚染、揮発性有機化合物(VOC)汚染、重金属汚染など、人為起源である汚染がほとんどですが、 ヒ素汚染などの自然起源の汚染もあり、単に地下水汚染と言っても、様々な問題が複雑に絡み合っています。 また、汚染源の特定には各種利害関係も含んでおり、非常に難しくデリケートな問題となっています。

こうした地下水汚染に立ち向かう人材には、地下水に対する正しい知識はもちろんのこと、 汚染が発生している現場状況や今後起こりうる課題を先読みする洞察力を踏まえた、総合的な地下水への知識が必要となります。
また、安定した水資源としての地下水に対する依存度は年々増加傾向にあり、近年では「水戦争」と呼ばれる新たな問題も発生しています。 これまで水は人類の共有財産でしたが、個人が利益を求め商品化されることにより、人びとに水が行き渡らなくなるという、由々しき事態が顕在化しているのです。

GelKでは、各種の地下水問題に遭遇した場合に、広い視野を持って異なる専門分野の技術者を指導しながら、 原因究明のための調査計画の立案、調査、分析、解析および解決策の選定まで提案、指導できる真の環境リーダーとして活躍できる 国際的な環境人材『地下水環境リーダー』を育成することを目的としています。
特に、工業・農業・都市域が発展し始め、地下水への依存度が急増しているアジア・アフリカ地域からの留学生を受入れ、 GelK修了後に母国の課題やニーズに対応できる機動的かつ即戦力となる人材の育成に力を入れています。

世界中の教育機関や研究機関との連携・人材の育成

GelKでは、世界中の教育機関や研究機関と連携し、地下水環境リーダーの育成に努めています。 教育機関では、国内はもとより、特にアジア・アフリカ地域との連携が強く、学生のインターンシップ先として受け入れていただいている他、 交換留学生の受入れや修了生を核とした国際ネットワーク形成も行なっています。 また、欧米などの研究機関とも強い連携を図っており、国際シンポジウムでの講演依頼や、 集中講義の講師としてGelK学生に対して地下水の先端研究を紹介していただいています。

インターンシップ先での
GelK学生の湧水調査風景(カメルーン)
インターンシップ先でGelK学生が
地下水観測施設のレクチャーを受ける(熊本県庁)