地下水環境リーダーからのメッセージ

輝く未来に向けた熊本大学地下水環境リーダー育成国際プログラム(学長・谷口 功)

 熊本大学は、九州西岸の中央にあたる熊本市に位置し、我が国の最も歴史ある国立研究拠点大学として、今日の国際化する社会の変革を担う革新的なリーダーの育成を行っています。熊本は、活火山の阿蘇山を有することから「火の国」と呼ばれ、そのシンボル色の赤(R)、環境豊かな「森の都」としての緑(G)、豊富でおいしい地下水を擁する「水の都」の青(B)をシンボルとするRGB(光の三原色)の都市です。熊本は長い歴史に培われた文化財や伝統などが受け継がれることで歴史的、文化的にも恵まれています。その一方で、近隣には、電子部品/半導体、エネルギー/環境、バイオテクノロジー関連の数多くの世界的な先端企業群が立地しています。

 この熊本の特徴と、豊かな水に関する長年の世界的な科学・技術の研究成果を基盤として、水に関する持続型地球を構築するための地下水環境リーダー育成国際プログラムを開始しました。略称GelK と名付けた「熊本大学地下水環境リーダー教育研究拠点」プログラムは我が国の国家支援プログラムの一つで、アジア・アフリカ諸国との科学・技術に関する国際共同事業です。水の品質管理、廃水の処理技術、水循環などの視点から水をマネージメントすることは、21世紀社会において極めて重要な課題となっています。GelKは、3カ年の教育・人材育成課程に、毎年、留学生10人を日本人学生5名とともに受け入れ、教育することで、世界のトップクラスの水に関する革新的な環境リーダーとしての研究者・マネージャーの育成を図るもので、修了者には「地下水環境リーダー」の称号が与えられます。

 東日本大震災で、今後本事業計画の遂行には様々な困難も生じることが予想されるが、水は命の源であり、GelKプログラムの社会的な寄与は極めて大きいといえます。このプログラムの益々の発展を期待するとともに、このGelKプログラムに参画される留学生を心から歓迎します。

サステイナブルワールドのための地下水環境リーダーの育成(自然科学研究科長/ 高島和希)

 本学の「地下水環境リーダー育成国際共同教育拠点」は、科学技術振興調整費による戦略的環境リーダー育成拠点形成プロジェクトに採択されたものであります。本学自然科学研究科は、平成22年度からこのプロジェクトにより世界における地下水環境リーダーを育成する教育研究をスタートさせました。
 5か年計画で毎年10名の留学生と5名の日本人学生を博士後期課程において教育する予定です。言うまでもなく水は人類にとって何よりも貴重な資源であり、増加している全世界の人口を維持するために必要不可欠なものであります。ところが開発途上国の急速な工業化と人口爆発は、水資源の汚染や枯渇という重大な危機をもたらしています。また2011年3月11日に発生した大津波による福島原子力発電所の重大事故は、深刻な環境汚染を引き起こす可能性があり、飲料水の汚染も懸念されます。注意深い環境モニタリングが必要とされるところです。
 このように高度に工業化しグローバル化した世界においては、快適な住環境を維持し、平和な暮らしを守ることは容易なことではありません。そこには常に環境をモニターし、あるいは開発し、維持していく努力が不可欠であり、それができる人材が広く世界から求められています。地下水に関してそのような人材を育成しようという本研究科の取り組みが、多くの人々に理解され、人類の未来のために働く国際的に活躍する人材を多数輩出することを祈念いたします。